先ずは「お陰様で無事に帰ってきました」ですね。そして、患者様・お客様には「留守中は大変ご迷惑をおかけしました。今後、渡米中に培った医療(知識・技術・精神)でお返ししていきます」です。そして、日本に残って頑張ってくれたスタッフのみんなには、「ありがとう」ですね。

私は過去、アメリカをはじめ、ロシア、ドイツ、韓国、イギリス、メキシコなど、世界各国へ出向き医療研修をしてまいりましたが、その時の海外研修では「いろんなものを吸収しよう」「本当にやれるのかな?」など、チャレンジ精神と勉強させて頂くという気持ちが大半を占めていました。しかし、今回は今まで日本でやってきた知識、技術、精神、スピード、人材育成、チームワーク(組織力)など、どれを取っても「今度こそやれる」という自信を持って臨みました。結論から申し上げると「まだまだ世界の壁は厚かった」「懐の深さが違いすぎる」という結果でした。

知識、技術、チームワーク、人材育成の部分においては「このまま向上心を持ち続け、一生懸命やっていけば大丈夫」という自信を持ちましたが、想定外だったのが「スピード」と「精神的な部分」でした。スピードについては日本の医療仲間(同業者)から「治療のスピードや考え方、動きなど、何をやるにしても本当にはやい。ついていけないよ」と言われ続けてきましたが、アメリカ独特のスピード・効率という部分での考え方や捉え方には、やはり過去の医療研修同様「まだまだだなぁ」と思わざるを得ませんでした。スピード・効率という日本的な考え方や捉え方だけではダメですね。今後は日本的なものに加えて、アメリカ独特の「シンプルさ」を取り入れていく必要があると感じました。過去渡米した時、数年前に感じたことを改めて痛感させられたということは、その時の反省点があまり是正されていなかったということです。いくつかのテーマを持っていった中で、結構自信があった「スピード」というキーワードだっただけに少しショックを受けました。今後は更にスピード、効率というものを工夫改善し、また一からやり直します。完敗です・・・

そして「精神的な部分」です。精神的な部分というよりもナショナリズム、国民性(人間性)と言った方がいいかもしれませんね。いや、この表現の仕方も少し違うような・・・。 とにかく、一言で表現すると「懐の深さ」です。これは何度アメリカに行っても感じることです。日本人の勤勉さ、律儀さ、優しさ、親切さなどは、確かに世界的にも群を抜いております。それが世界有数の先進国、治安の良さ、安心して住める・過ごせるという部分につながっているのでしょう。しかし、人種やステータスに関係なく、何かを受け入れる時の「アメリカの懐の深さ」には到底かないません(公民権運動前のアメリカとは雲泥の差です) アメリカではステータスや人種などは関係なく、先ずはコミュニケーションから入り、“受け入れる”ことから始まります。能力や必要性などはその次です。これも表現の仕方が難しいのですが、やはり医療だけではなく経済も含めて、世界を牽引していくのは「なんだかんだいっても、まだまだアメリカでなくてはならない」と感じました。これも過去の渡米同様、改めて痛感させられた出来事の一つでした。この「懐の深さ」というものが、今も昔も変わらず“アメリカンドリーム”というものを生み続ける要因なんでしょうね。これにも脱帽、完敗です(但し、政治的思惑・広告誘導による戦争や9.11などの疑惑については認めていません)

とはいいましても、日本でやってきた知識と技術がある程度「世界(アメリカ)に認められた」という点は素直に嬉しいです。あとは人材育成とチームワークという点においてもお褒めのお言葉を頂戴しました。今後も向上心を持ち、絶え間なく努力していきたいと思います。そして、たくさんの人と一期一会という機会を与えてもらったアメリカに感謝です。

桑田真澄投手(巨人⇒パイレーツ)はじめ、野茂英雄投手(近鉄⇒ドジャース)、荒木大輔投手(ヤクルト⇒現東京ヤクルト)、村田兆治投手(ロッテ⇒現千葉マリーンズ)、水野雄仁投手(巨人)、吉村禎章選手(巨人)や数々のメジャーリーグ選手、トップアスリートを手術して復活させた、世界スポーツ医学の最高権威であり、“トミー・ジョン手術”の創始者であるフランク・ジョーブ博士(整形外科医)との一期一会。 Wild Card Boxing Gym(6階級制覇を果たした世界ボクシングチャンピオンのマニー・パッキャオ選手が所属)のボクシングトレーナーとして活躍しているセミー・スチュアート(ハリウッド映画 Fast6にも出演している映画俳優でもある)との一期一会。ボクシングの現WBC世界ランカー&IBF世界ランカーであるワレ・オモトソ選手との一期一会。 その他にも足底板のスペシャリスト、一流の内科医、鍼灸師、整体師(カイロプラクティック)などの医療従事者、ここではご紹介できないくらいの人たちと一期一会という機会を得ました。私の治療で少し痛がっていたワレ・オモトソ選手の顔が今でも鮮明に浮かびます(上記の対談・医療技術交流、ワレ・オモトソ選手などの治療風景はビデオやカメラで撮影)

余談ですが、スチュアートから帰り際に「今度、アメリカに来たときは俺の携帯電話に電話してくれ。その時は、一緒にメシでも食おうぜ。うまいところに連れて行ってやるからな」と言われましたので、その時はスチュアートにおごってもらいます。また、ジョーブ博士と握手して写真を撮った時の手は、とても大きく温かく感じ「これぞ世界のプロフェッショナル」という歴史を感じました。とにかく、辛くて、悔しくて、苦い経験も味わいましたが、今後の医療人生、そして何よりも自分自身の今後の人間形成に役立つ貴重な旅でした。

現地では早くも来年の渡米(海外医療研修)が決定しました。次回はロサンゼルス、シアトル、フェニックスです。次こそは「満点」に出来るよう、一生懸命頑張っていきます。そして、留守中に頑張ってくれた全スタッフへ私からの一言 ⇒ 「世界の壁は厚く、とてつもなく高い山だけど、君たちはアメリカの医療スタッフにも負けないくらいの素晴らしいガッツと素質があるということをアメリカで再確認できました。共にもっともっと勉強し、たくさんの患者様やお客様を救っていこう。私は君たちと出会えたことに感謝しています。頑張っていこう、ありがとう」

少し長くなりましたが、今回の渡米で得た知識と技術を遺憾なく発揮させて頂きます。年内もしくは年明け後には、過去の海外医療研修(アメリカ・ドイツ・イギリス・韓国・ロシアなど)と今回の医療研修(アメリカ・メキシコ)で得た知識と技術を集約したものだけで施術する治療院を設立する予定です。今後もスマーツメディカルを宜しくお願い致します(スマーツメディカルGr. 総院長)

追伸

本日は帰国後、初日の治療でした。今日は朝一番、スタッフであるSの元気な姿を見て「この子たちのためにも、もっと頑張らいといけない」と思いました。そして、今日は前回のロンドンオリンピック出場を直前のケガで逃し、次回のブラジルオリンピックを目指している陸上選手(男子:100m)と日本ユース陸上選手権大会に出場したばかりの陸上選手(女子:3段跳び)が来院しました。こうやって夢を持った若いアスリートを見ると「この子たちも自分の夢を実現するために、たくさんの苦労を背負い、毎日厳しい練習に没頭しているんだよなぁ。体力的には勝てないが、情熱だけは彼らに負けないように頑張らないといけない。もっともっと高みを目指していこう」と改めて気を引き締めました。何事も一朝一夕にいかないのが高みを目指す者の宿命。そして「やるか、やらないか」です。ならば「やるしかない!」ですよね。